映像学習について

SKIPシティでは、教育課程や対象学年に合わせて、インストラクターを派遣してより本格的な映像制作を行う「映像学習プログラム」(約20時間)と、映像ミュージアムを見学しながら映像制作について学ぶ「団体見学」(約2時間)を実施しています。

映像学習の目的

映像学習には、実施方法によって多様な教育成果を生む可能性が存在します。SKIPシティの映像学習では、下に挙げる4つの目標を主軸とし、各学校がどこに重点を置くかに合わせて、実施目的にあった多様なプログラムを組むことができます。また、メディアリテラシーといった近年益々重要視されるようになった課題にも早くから取り組んでおり、児童や生徒が映像学習の中で自然に学ぶことができるようなプログラムを提案しています。

映像による自己表現能力の育成

メディアや通信技術の発達にともない、映像による表現能力、創作能力は、今日の時代における文章による表現能力と同様に新しい世紀では社会生活に不可欠なコミュニケーション技能となってきています。SKIPシティの映像学習プログラムは、映像という世界共通言語で自己表現、意思発表ができる基礎的技能を習得させることを目指します。

メディアリテラシー教育

多様化するテレビやインターネットなど、メディアに溢れる情報の中で、ともすれば児童、生徒への影響が危惧されている今、メディアから発信される情報を正しく判断できるメディアリテラシー教育の実践が、世界の教育界で重要視されています。映像学習プログラムでは、企画、撮影、発信と一連の作業を経験することで、作り手側の意思で情報の内容を意図的に変えられるということを体感し、メディアの情報に対する適切な判断力を養います。

共同作業を体験する場

映像制作においては、多様な能力の共同作業が必要不可欠となります。個々の能力を専門特化し、協働して成果を上げるという社会ニーズに対応しながら、役割を分担し、個々の能力を発揮して作品を完成させるという共通の達成感の体得を促します。

関連学科での学習テーマ深化とコミュニケーションの拡大

他の学科で学んでいるテーマ、例えば環境問題を、調べ学習の一環として映像制作を行います。映像で紹介するという視点に立つことで、地域や学校の問題を多角的に捉えることができます。また制作した映像を、SKIPシティチャンネル(オンライン動画サイト)などを利用して、他校や地域に配布・配信することによって、情報交換、意見交換など映像による新しい交流の場を創出することができます。自らが作った作品が生きた情報となって他校の生徒の心を動かすなど、さまざまな反応に出会うという体験も、新しい学習要素となります。

期待される成果

児童自身が映像学習を「楽しむ」

参加児童を対象にしたアンケートでも、9割以上が「面白かった」とし、8割以上が「またやりたい」と回答していることから、映像学習のプログラムにとても満足していることがうかがえます。普段から身近にあるテレビ番組や映像が、どのように作られているのかという関心の持ちやすいテーマに対して、実際に使用する機材に触れながら体験を通してアプローチすることで、児童自身が学習内容に興味を持ち、積極的に取り組むことができます。

メディアリテラシーへの関心と理解が深まる

映像制作の手順、様々な役割、機材の扱い方など、制作の技術的な面だけでなく、撮影や編集の仕方によって、伝わる内容や印象が変わるというメディアリテラシーへの理解を深め、どうしたら相手によく伝えることができるのかという表現方法について考えるきっかけを作ります。またアンケートでも、約7割の教員が、映像学習後に児童が「テレビニュースなどに関心を持つようになった」と回答しており、メディアへの関心や考え方の変化を表しています。

個々の役割の重要性を認識する

映像学習プログラムでは、児童一人一人がインタビュアーからカメラマンまで多様なスタッフの役割を担当し、また準備段階の調査から、撮影、編集などの各段階でも、多くの作業を分担しながら一つの番組を完成させていくため、個人の担う役割についての責任意識が醸成されます。

映像学習の成果を検証した詳しい調査結果は下記資料よりご覧いただけます。

◆『SKIPシティ映像学習―子どもたちに何を育んだのか』(※「2. 成果の検証」より抜粋)

「SKIPシティ映像学習」編集実行委員会(編)