メディア・エクスプローラー2007展

「エクスプローラー」とは、冒険者、探求者という意味です。新しいメディアと表現の可能性を探究する先駆者が、「メディア・エクスプローラー」です。

この10年間、メディアと表現の領域における次世代を担う人材育成のために、数々の大学や大学院、専門学校がつくられてきました。この展覧会では、それらの教育研究の現場から生み出された作品を紹介します。

私たちは、メディアを通じて、世界の動きを知り、他者に気持ちや考えを伝え、自分を理解し表現してきました。技術は、メディアの姿を変えていきます。それに対して、若い表現者たちは、いま何を思い、誰に何をどう伝えていくのでしょうか。

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宇田敦子「Hands On Movie」

たとえば、ガラスのコップを見たときに、それを叩くと、どんな感触がして、どんな音がするか、私たちは前もって想像することができます。映像は、その人間の想像力を利用して、画面の中に「世界」を作りだすわけですが、この作品では、鑑賞距離を触覚に合わせる、つまりゼロに近づけるという実験をしています。その試みは、テレビゲームのような派手なインタラクションとはちがった、素朴な驚きをもたらしてくれるでしょう。

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小町谷圭「演算する絵画」

ロボットと一緒に絵を描いてみましょう。このロボットは、目の前にある線を読み取りながら、次の線をどう描くか決めています。人間が新しい線を描き加えたり、古い線を消したりすると、ロボットは別の線を描きはじめます。この絵には「完成」がありません。その意味では、公園の砂場のようなものと言えるかも知れません。絵を描くための道具としてロボットを考えたとき、私たちは何を発見できるでしょうか。

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クワクボリョウタ「Vomoder」

私たちは顔文字のような簡単な記号でも会話をすることができます。それは、私たちが、他人の顔を、色や形としてだけでなく、「表情」として読み取り、相手の心を理解しようとしているからです。この作品では、声に合わせて記号化された顔が動きます。会話の内容と記号の示す意味の間にズレが生まれるとき、コミュニケーションを支えているメディアの存在がクローズアップされます。

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齋藤朋彦+繁田智行「8 viewpoints」

映像は、現実の一部を切り取り、記録することができますが、実際の空間では、1つの瞬間にも複数の出来事が同時に起きています。この作品では、8台のカメラ=8つの視点で記録した日常の風景を「圧縮された空間」として提示しています。空間の中を自由に行き来して楽しんでください。

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福森みか「音点字」

目の見える人が、目の不自由な人が使う点字を学ぶための装置です。日本語の点字は、母音と子音の組み合わせでできています。「音点字」では、母音に色をつけ、さらに音声を用いることで、点字のしくみがよく分かるようになっています。この装置は、点字の学習と普及を目的とするメディアという意味で、「メディアのためのメディア」と言えます。

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五十嵐友子「Fog, off the ground」

たとえば「セピア色の過去」とか、「スローモーションのような記憶」という言い方は、写真や映像のない時代にはあり得ませんでした。メディアの発明は、「過去を思い出す」という、人間にとって根源的な営みでさえ、変化させてしまうのです。

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高尾俊介「Crawl 02」

日の出から日没まで、這う(Crawl)ようにゆっくりと歩きながら、1つの被写体を撮影しつづけます。デジタル技術の普及により、かつて印画紙とフィルムが持っていたような、写真と映像の物質的な差異は次第に失われつつあります。両者が「静止画」と「動画」に還元されたとき、どのような新しい表現が生まれるのでしょうか。

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早稲田大学川口芸術学校「川口再発見」

SKIPシティの地元、埼玉県川口市の様々な人と場所、歴史を捉えた10点のドキュメンタリー作品です。映像の制作を通じて、自分のいる場所を「再発見」する試みです。

特別上映

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宇田敦子「福田さん」(1998年/41分) ほか
「今日、親から蟹をもらったんで、食べにおいでね」?こんな留守電から始まる、作者の友人、福田さんを主人公とした4章構成ドラマ。作者自身も含めた友人たちとの日常的な交流を描く。劇的な展開を極力抑え、友人間の微妙な心理、感情を観察眼豊かに綴っていく。

・イメージフォーラム・フェスティバル1999大賞受賞
・バンクーバー国際映画祭招待上映

日時

2007年7月28日[土]14:00~(13:30開場)、8月4日[土]14:00~(13:30開場)

会場

彩の国ビジュアルプラザ4階 映像ホール

料金

無料(映像ミュージアムの半券をお持ちください)全席自由席。

ワークショップ

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「からくりアニメを作ろう!」

講師

クワクボリョウタ(アーティスト)

概要

簡単な電子工作で、動きに反応するアニメーションをつくります。

日時

2007年8月5日[日]13:00~16:00

場所

映像ミュージアム3F ワークショップルーム

対象

小学校5年生以上

定員

10名(応募者多数の場合、抽選とさせていただきます)

参加費

無料

会期

2007年7月13日[金]~10月14日[日]

開館時間

9:30~17:00(入場16:30まで)

休館日

月曜日(祝日の場合は翌平日)

会場

映像ミュージアム

映像ミュージアム入館料

大人¥500/小中学生¥250(常設展示もご覧いただけます)

主催:

株式会社デジタルSKIPステーション

共催:

埼玉県

後援:

埼玉県教育委員会/川口市/川口市教育委員会

協力:

IAMAS(情報科学芸術大学院大学+岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)/早稲田大学川口芸術学校

このイベントに関するお問い合わせ

映像ミュージアム
048-265-2500