目をあけて何かを「見て、わかる」には、脳のなかで驚くほど複雑なことが起こっています。
「見て、わかる」能力、つまり視覚は人類が長い進化の歴史のなかではぐくまれてきました。
しかし、私たちの生活に映像がますますあふれて行く一方で、視覚に関する脳のルールやクセを知るチャンスはほとんどありません。
本企画展では、ふしぎな錯視を使ったゲームや実験などを楽しく体験しながら、謎にみちた脳の扉を開けるきっかけになることを目的としています。
目と脳のメカニズムを知ることは、人類史上初めて遭遇する映像時代を楽しく快適に迎え、未来の新しい映像メディアの創造へつながってゆくでしょう。
※錯視:ある条件のもとで、形・大きさ・動き・明るさなどが実際とは違う状態で見える現象。
真中の緑の点を見つづけてください。
ふしぎなことに、周りの黄色い点が実際には消えていないのに、消えたように見えてしまいます。
企画展では、この他にも様々な視覚現象や錯視を体験できます。
発見者:Bonneh, Cooperman & Sagi(2001)
私たちをとりまく世界を「見て、わかる」ためのメカニズムとは?
どのようにして目から入った情報が脳へ伝えられ、どのようにして脳の中でイメージをつくりあげているのかを解説します。
見えているはずのものが消えてしまうという、2001年に発見された錯視現象を体験します。
ちょっと注意をさえぎられるだけで、単純な変化に気づけないことを体験します。
顔も表情もない点の集合が動いているだけで、それが何をしているところか分かるか体験します。
同時にいくつまで動いているターゲットに注意を向けることができるか体験します。
記憶はその前後の情報や経験によって変わることがあります。記憶がいかにあいまいかを体験します。
映像でかくれんぼ!?動いているときは自分が見えるけれど、止まると背景にかくれてしまう不思議な視覚現象をつかった体感型ゲーム。
「人間にとって根源的ことがわかると、新しい表現ができるのではないか。」(佐藤雅彦)
山口情報芸術センター(YCAM)にて行われた慶應大学佐藤雅彦研究室ワークショップの成果展示。「動きを伴って初めて見えてくる」ものを探る、脳科学と表現が結びついたワークショップです。 展覧会では、ワークショップで完成した映像クリップやドキュメント映像を通じて、原理から表現へとつながる実践活動について紹介します。
謎がつまった脳の解明に挑んでいる科学者や心理学者のインタビューを通して、現在の研究が未来の私たちの生活へどのように生かされているか展望します。(50音順)
一川誠氏(実験心理学/千葉大学文学部助教授)
「古代に発見された月の錯覚の原因は、いまだに分かっていません」
※続きは、映像ミュージアムでインタビューをお聞きください。
坂上雅道氏(神経科学/玉川大学学術研究所教授/脳科学研究施設主任)
「心の中のスポットライトを当てないと、モノは見えません」
※続きは、映像ミュージアムでインタビューをお聞きください。
多湖輝氏(心理学/千葉大学名誉教授/「頭の体操」シリーズ著者)
「僕らの今の状況は、いかに情報を切り捨てて行くかが勝負です」
※続きは、映像ミュージアムでインタビューをお聞きください。
動くポスター & 錯覚パラパラアニメを作ってみよう!
かたちや大きさ、動き、明るさなどが実際とはちがう状態で見えてしまう現象を「錯覚」といいます。ワークショップでは、「動きの錯覚」を利用したポスターやパラパラアニメを作りながら、普段は気がつかない視覚のルールやナゾを探ります。
講師:一川誠(実験心理学/千葉大学文学部助教授)
会期 |
2007年1月19日[金]~6月30日[土] |
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開館時間 |
9:30~17:00(入場16:30まで) |
休館日 |
月曜日(祝日の場合は翌平日) |
会場 |
映像ミュージアム |
映像ミュージアム入館料 |
大人¥500/小中学生¥250(常設展示もご覧いただけます) |
主催: |
埼玉県 |
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後援: |
川口市、川口市教育委員会 |
協力: |
一川誠(千葉大学文学部助教授)、遠藤孝則+石橋素(DGN)、坂上雅道(玉川大学学術研究所教授)、多湖輝(千葉大学名誉教授/「頭の体操」シリーズ著者)、山口情報芸術センター(50音順) |
制作: |
株式会社デザインアートセンター、写真撮影:鬼頭志帆 |
映像ミュージアム
048-265-2500