日時:2011年9月16日[金]11:00/9月18日[日]14:00
「俘虜記」や「レイテ戦記」など、戦後の戦争文学に大きな足跡を残した大岡昇平の同名小説を映画化。
戦争末期のレイテ島の戦場。食料難のため部隊からも病院からも見捨てられた主人公。さまよううちに知り合った二人の敗残兵。その一人は猿の肉だと称して人肉をすすめる。それに気付いた時に自分も殺されそうになり、逆に相手を殺してしまう。
映画化にあたって市川崑監督は次のように述べている。「大岡さんは原作の中で、大変大きなテーマとして神を登場させている。……映画ではむしろ神の問題を全部なくすことによって神を感じさせられる……だから原作では主人公が人肉を食うけれど、映画では食わない。……そこで人肉があまりに固いために歯がボロリと欠けるという具合に書き変えた。歯が欠ける、これが映画ではないだろうか」。ブラック・ユーモアを得意とし、才気煥発な監督ならではの弁である。「キネマ旬報」ベストテン第2位。
1959年/104分/白黒/35mm
監督: |
市川崑 |
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原作: |
大岡昇平 |
出演: |
船越英二、滝沢修、ミッキー・カーチス、潮万太郎、浜村純 |
日時:2011年9月16日[金]14:00/9月18日[日]11:00
昭和の世を迎え、零落の一途を辿る大阪・船場の廻船問屋、蒔岡(まきおか)家の四姉妹を主人公にした谷崎潤一郎の代表作を、市川崑監督が東宝創立五十周年記念の大作として映画化。市川監督としては、『鍵』(1959)に次ぐ二度目の谷崎作品で、監督デビュー当時より念願していた作品である。「細雪」の映画化は、阿部豊(1950)、島耕二(1959)に続いて三度目。
今回の映画化では、物語を一年間に凝縮させ、幾度となく破談となる三女・雪子の縁談を軸に、四季折々の美しい風景を交えながら、大店の家族の生活ぶりを絢爛と描いている。見事な編集により主要な登場人物を紹介するオープニング、たわいのない日常のディテールをいきいきとした台詞回しと芝居で見せる巧みな演出、フェードアウトの暗転を活かした後半の物語展開など、至るところに市川監督の才智が煌いている。四姉妹を演じた女優陣を初め、役者はいずれも代表作にふさわしい名演技を披露している。
1983年/140分/カラー/35mm
監督: |
市川崑 |
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原作: |
谷崎潤一郎 |
出演: |
佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子、岸恵子、伊丹十三、石坂浩二、岸部一徳、桂小米朝、江本孟紀、細川俊之 |
日時:2011年9月17日[土]14:30/9月19日[月・祝]11:00
温かみの欠けた家庭にあって、姉と病床の弟とが寄せ合う深い愛情の交歓をきめ細かに描いた幸田文の小説の映画化。姉弟を岸恵子と川口浩が好演、その年の「キネマ旬報」ベストテンでは第2位に空前の大差をつけて第1位を獲得した。
こうした文学作品の映画化は市川崑監督のキャリアの中でも重要な位置を占め、この時点ですでに『ビルマの竪琴』(1956)、『日本橋』(1956)、『鍵』(1959)、『野火』(1959)などの名作を放ち、その実験精神を発揮している。
技術面の冒険にも積極的な市川監督は製作当時、日本映画を代表するカメラマン宮川一夫の協力のもとに、この映画に「銀残し」という特殊な技術を導入した。現像段階で銀を漂白する際、カラー色素の中に銀をわずかに残すことで、カラー映画でありながら白黒映画のようなくすんだ色調を醸し出す技法で、その渋い色合いがこの映画にノスタルジックな空気を与えている。
1960年/98分/カラー/35mm
監督: |
市川崑 |
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原作: |
幸田文 |
出演: |
岸恵子、川口浩、田中絹代、森雅之、友田輝、岸田今日子、浜村純 |
日時:2011年9月17日[土]11:00
/9月19日[月・祝]14:00
1964年10月10日から24日まで開催された第18回オリンピック東京大会は、スポーツによる国際交流の場を通して、わが国が世界にその復興を示した国家的規模の一大行事であったと言えるだろう。
この作品はそのメモリアル・フィルムとして市川崑総監督以下、561人のスタッフが結集して製作され、翌年公開されるや空前の観客動員を記録し、12億を超える配給収入を上げた話題作である。また、その際に「記録か芸術か」という問題を提起し、様々な議論を巻き起こしたこ。それは、この作品がスポーツの勝敗よりも、スポーツをする「人間」により多くの描写を費やしたためとも言えるのだが、これはこれで作家市川崑としての一貫した姿勢でもあった。カンヌ国際映画祭批評家協会賞受賞、「キネマ旬報」ベストテン第2位。
1965年/169分/カラー/35mm
監督:市川崑 |
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企画・監修: |
オリンピック東京大会組織委員会 |
日 時 | 作品名 |
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9月16日 |
[金] |
11:00 |
『野火』 |
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14:00 |
『細雪』 |
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9月17日 |
[土] |
11:00 |
『東京オリンピック』 |
14:30 |
『おとうと』 |
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9月18日 |
[日] |
11:00 |
『細雪』 |
14:00 |
『野火』 |
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9月19日 |
[月・祝] |
11:00 |
『おとうと』 |
14:00 |
『東京オリンピック』 |
日時 |
2011年9月16日[金]~19日[月・祝] |
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開場時間 |
開映時刻の1時間前。当日のご来場順にて入場。(各回入替制・全席自由席) |
料金 |
500円(当日・前売とも) ※1作品を1回ご覧になれる共通券での販売となります。 |
入場券販売 |
【前売券】 (9時30分~16時。月曜休館。祝日の場合は翌平日。) ■川口リリアチケットセンター (10時~19時。年中無休 ※休館日除く) |
会場 |
彩の国ビジュアルプラザ4階 映像ホール |
※映画をご覧のお客様は、上映当日は3時間まで駐車料金が無料となります。『東京オリンピック』をご覧のお客様は駐車場が終日無料となります。駐車券を映像ホールへお持ちください。
※35ミリフィルムでの上映となります。やむを得ぬ事情により、上映作品や時間の変更・中止をする場合がありますので、あらかじめご了承下さい。
※作品によって、画面・音声が必ずしも良好でない場合がございますのでご了承ください。
主催: |
株式会社デジタルSKIPステーション、文化庁、東京国立近代美術館フィルムセンター |
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後援: |
埼玉県、川口市 |
協力: |
株式会社オーエムシー |
彩の国ビジュアルプラザ
048-265-2591